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私はうきうきしながらキッチンに入り、おみそ汁のお鍋を火にかける。
それから、グリルのスイッチを入れて、鮭の切り身を焼く。
炊飯器の中のごはんは、ふっくらつやつや、美味しそうに炊けているし。
ほうれん草のおひたしも、冷奴用のお豆腐も、ちゃんと小鉢に盛った状態で冷蔵庫に入れてある。
「準備万端! ああ、はやく帰ってこないかな」
鼻唄をうたいながら、グリルの火加減を見ていると。
「………」
しゃなりしゃなりと近づいてくる影。
「ユキ」
私はじとりと視線を向けた。
「せっかく私ががんばってお料理したんだから、今夜は、私と圭のラブラブタイムの邪魔、しないでよね」
聞こえているのかいないのか、ユキはいつものように、つんと澄ました表情を浮かべて、私を横目で見ている。
「なによ、感じ悪いわね」
私はむすっと言ったけど、ユキは何も答えない。
そのきれいに整った横顔を、玄関に向けたまま黙っている。
ユキはすごく無口だ。
なにか我が儘を言いたいとき以外は、基本的にうんともすんとも言わずに、ひっそりと黙りこんでいる。
なんて愛想のない………と呆れてしまうけど、そんな欠点も感じさせないくらい、とんでもなく愛くるしい容姿をしているのだ。
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