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リビングの50型液晶テレビ。高画質で高音質。雪人の持っている40年前の壊れたテレビとはちょっと違うぜ。
「今宮?」
雪人が聞き取れない位の小さな声で答えた。
「ん……ん……あ、『相方』って……刑事ドラマ……」
刑事ドラマ! うわ! 意外!!
寿夫は勝手に描いていた『雪人の好きそうな番組表』をバラバラと崩した。
世界遺産とか歴史シリーズなんかが好きだろうと思っていたのだ。
「ふ、普通の刑事モノとちょっと違うんだ。刑事のふたりが友情と信頼で固く結ばれてて、事件解決の時なんか息のあったコンビネーションで犯人を追いつめたりとか、一方は頭脳派一方は肉体派なんだが見事な連係プレーしたりとか……。リアリティーがあって、と、とにかく面白いんだ、だ、だから……」
無口な雪人が珍しく喋る。面白い……。
「番組が終わってもお前帰ってこないし、テレビ見るだけ見て帰るっていうのもなんだが申し訳ないしで……」
「待っててくれたのか?」
「うん」
「もう終電ないぞ」
「そうだな」
「じゃ、泊まってくか?」
「うん……」
雪人の頬がほんのり赤く染まったのは気のせいじゃないと思う。
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