春の陽射し

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『ちょっと、領君…引くことも覚えなよ!』 妹の銀杏あや(いちょうあや)が言った。 『うるせー!折角、錬金が成功したのに…この程度かよ!』 兄の市井領(いちいりょう)は、自失を庇うように 少し、声を荒げた。 兄妹で姓が異なるのは、両親の離婚によるものである。 『攻め特化も善し悪しだなぁ…』 領は、ゲーム機のコントローラーを横に置いて立ち上がった。 『領君、朝ごはん何?』 あやは、甘味大好きの高校2年生 母親の海外赴任に伴い 今年、大学2年になる兄と同居生活する事になった。 『特製ハンバーグトースト!』 領は、自慢げに言った。 『トーストだけで、良くない?』 あやは、そう言って 怪訝そうに首を傾けた。
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