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最初は何ともない普遍的なものだった。
高2のクラス替えで一緒になって、2つある特進クラスに上がれた私はそれだけで嬉しかったのに、憧れさえ見つけてしまった。
そして、運よく向こうから話しかけて来た。
「よろしく」
明るく微笑む彼女は、崇高な人のように感じた。
私なんかと、比べられないような人。
部活で成績を残していて、成績優秀で、スタイルもよくて羨やましい。
それでいて、気を遣える大人びた性格。
「こちらこそ。」
「なんて呼んでいい?」
「何でもいいよ。」
「じゃあ律夏」
しかも席は私の前。
わざわざ私の方を向いて話しかけてくれる。
「私もなんて呼べばいい?」
「なんでもいいよ。呼びやすいやつで」
「じゃあ名前で呼びたい。」
早速呼びたくても、喉につっかえて出てこない。
彼女の名前は星野翔。
翔ぶと書いて、かける、と読む。
「か、かけ」
る、と最後の一文字を言ってしまえばいいのに、それが言えなくて俯いてしまう。
なんか、照れる。
「聞こえないなー」
頭の上から声がした。
意地悪をしているような声からして、
たぶん口角を上げてニヤリと笑ってる。
なんか、恥ずかしくなる。
「かけっ、かける!」
勢いよく顔を上げながら、叫ぶように呼んだ。
「うん、なに?」
満面の笑みが目の前にはあって、
頬が赤かった。
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