第一話 じゃあいっそ、俺と結婚でもするか?

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東京で三指に入る極道、宗像組の息子に生まれて20年 家系の景気は順風満帆。 跡目問題も、俺、一人息子だし。 目立って、跡目を狙おうって奴も居ねえし、本当、なぁんも、問題ない状況で、安泰のポジションの俺。 只一つ俺につきまとうケチがあった。 ~~~~~~ 「都内最大勢力、神埼組の若頭が超絶最強で肩身が狭いですわ」 「お宅の息子さん気が弱いから、直視したらチビるんじゃないですか?」 「優しくて良い子ですけど、ヤクザ向いてないですよね?」 「こりゃ、親父さんしまえたら、組たたんだら、どうですか?」 ~~~~~~~ 今までボロクソ言われてきた。 あぁ、嫌な事思い出した。 子供の頃から気が弱くて、特に小学校時代は、酷いイジメにあって、結局、学校を転校した程だった。 だが、そんな俺も、今や組の若頭。 普通に喧嘩もすれば、酒に、煙草、女だって抱く。 普通に普通の極道の若頭を普通にこなせるまでになった。 でも、相変わらず、陰で『優しいだけで、取り得ない』とか、『地味で、根暗』とか言われ放題だけどな。 まあ、言いたい奴は言ってれば良い。 俺は、俺らしく生きて行くだけだ。 超絶つまんねえこの世の中で、超絶つまんねえ毎日をそれでも自分らしく生きて行くだけ……。 そう思ってた。 ずっと、そうやって、生きて行くんだ。 そう思ってた。 だって、つまんねえから。 こんな人生。 何の意味があるんだってさ。
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