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「これは渾身の出来だぜ?あんた、弓の扱いは大丈夫か?」
静かに頷く咲哉。
「ん?……あんた、アーノルドの剣も持っていくのか?」
また静かに頷く。
「……そうか。アイツも喜ぶだろうよ。実はな……。」
ご主人がエリーヤさんを見やる。エリーヤさんは苦笑しながら頷いた。
「俺らにも息子がいてなぁ……。アーノルドの親友だったんだ。アーノルドにこさえた剣の微調整は俺がするってんで、戦えもしないくせに付いていってそれっきりよ……。」
……切ないですな。
「俺はついていってやれねぇし、エリーヤもだ。だが、あんた一人じゃきっとどうにもならねぇと思うぜ?だから、旅先で仲間を見つけて、アーノルドや息子のバルドーの弔いしてくれよな。」
定石なお話で。多分、剣を離さない時点で咲哉もそのつもりだとは思います。……問題はデフォルト機能が何とかしてくれると信じたいです。NPCの皆さんの温かいお察し機能をフル回転でおねがいします。
「……ま、出立前にいっちょ腕前みせてくれや。」
咲哉はまた静かに頷いた。そうですよねー。画面上ならボタン一つですみますけど、今はそうも行かないですもんね。
裏庭に連れていかれる咲哉。そこには試し切り用の丸太や、弓の的などが訓練場よろしく整っていた。徐(おもむろ)に弓をつがえる咲哉。
言うだけあって様になってますな。……あの前髪で見えてるのかが謎。
一瞬後に何の躊躇いもなく、解き放つ。え?!はやっ!溜めみじかっ!……矢は見事、ど真ん中に命中。初めて咲哉の特技知りましたー。正直信じてませんでしたー。
「……ほう、見事だな。型も無駄がない。これなら問題ないだろう。……しかし、かなり重くなるように調整したんだがな。触れただけで把握したのか。」
咲哉は静かに頷くだけだった。
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