ACT.6 雑魚とドラゴン

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「……モンスターに気をとられたようだ。誰か道がわかるやつはいないか?」 リーダー気取りのキングスさん。ダメダメですねー。しかし、何と!咲哉が頷いた……。土地勘ないのにすごいですね。弓の下り辺りから有能っぽく見えてきましたよ。 「へぇ……滅茶苦茶に動いたのに?」 ヘイズさん、ちょっと意地悪しようとしてます。気にも止めずに頷く咲哉。何か隣でクリストファーくん、キラキラしてますよ。 「それじゃぁ、Uターンしながら残り回収していこうぜ。」 カナトさん、貴方も分からなかったのに清々しいですねー。残りは10匹前後ずつ。ヤバイです!このままじゃ咲哉の役職が《アーチャー》から、道案内(ナビゲーター)になっちゃいます! 「!?…わぁぁぁぁ!!」 ……幸か不幸か、いきなりクリストファーくんが青ざめて悲鳴を上げました。咲哉は微動だにせず、同じ方向を向いていました。3人はがばっと振り向きます。大きな黒い影が彼らに闇をもたらしていたのです! 「ド、ドラゴン!?に、逃げ場なんてねぇぞ!」 「……こんなとこで死に戻りしたら、経験値なくなっちまう。」 「流石に無理だろ?あれ、Bランク級のフレイムドラゴンじゃん……。」 あんたらが適当に移動するから、根城に迷い混んだんじゃないんですかー?!どうすんの!これ!クリストファーくん何か、気絶してるし!使えないにもほどがある! ……1人、ただ1人冷静な人がいました。我らが咲哉さんです。10本を束にして弓をつがえ始めました。かなり重い仕様の弓。10本ならば、ざっと10倍の圧力があるはず……。矢張あまり溜めもせず、放ちます。 けれど全てが勢いを落とすことなく、ドラゴンの柔らかそうな部分にうまい具合に命中していきます。目、繋ぎ目、火を吹こうと開いた口の中。……全弾命中!弱い武器でも、急所に当てれば確実に倒せる。それを見せつけました。 ……やっぱりBランクいけましたね、この人。ゆっくりとドラゴンが悲鳴を上げる余裕もなく絶命して、落下する音だけがリアルに響き渡ります。まるでスローモーションのように見えました。 きっとこの場にいる皆(気絶してるクリストファーくんは除く)がそう見えたことでしょう。 3人は何も言えませんでした。サポートさせるつもりで誘った後衛がまさかの伏兵だなんて思いもしなかった、そんな驚異を感じているようでした。
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