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まず、頻りに《小国》を主張していることと現在地を照らし合わせてみよう。
《街のようだが、そう遠くない位置にお城のような建物が見える》
と述べたことは記憶に新しいと思う。そう、《小国》と《そう遠くない位置にお城のような建物》が上手く当てはまってしまうのだ。
更に《国の名を持たない。取り敢えず国王の名前が名称になり、毎回変わる》とあることから、道行く誰かに国の名前を聞き、人名と取れるのであれは粗間違いなく、ゲームの中だと認識せざる得ない。
そして大事なことを忘れてはいけない。目的(コンセプト)だ。
《勇者など存在するわけもなくて、野望と欲望ばかりが錯綜する、嫌な世界ゲームである》
この部分のみからしか推察は難しそうだ。宣伝する気がなさそうな文体、咲哉の選択基準を問い質したい気持ちは今は抑えておこう。《勇者など存在するわけもなくて》とあるように、《勇者》がいない世界(ゲーム)。いやいや、RPGなのだから《主人公》が《勇者》でなくてどうする。要するにこの胸くそ悪い状況を打破する色々な意味での《勇者》を求めているのではないか。
………推敲、推察終了。今はこれ以上を汲み取る要素はないと思われる。何せ、取説と言うものもないのだから。
さぁ、最後に振り替えってみよう。一番考えたくないことに。《勇者》に選ばれたのは誰だ?
………………咲哉だね。
終始無言で全くもって反応すら見せない、この《主人公》にこの世界(ゲーム)の未来が託された。
………現状だけならば、絶望的である。
******ACT.3へ******
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