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「じゃあ…私は、帰りますね。課長も残業をほどほどにして下さいね」
と、立花君は帰って行った。
「さてと…。引き続き、帳簿チェック頑張ろう」
と、一人居残った私は、再び事務所のパソコンで帳簿のチェックを再開した。
そして…
それが全て終わり、時計を見ると、夜の十時になっていた。
「よっしゃ!帰るとするか!」
今夜は、妻がいない分、久しぶりに気ままにダラダラとした夜を過ごせる…。
恵美子は…
確かに『よくできた妻』だが、何事に対しても、しっかりとしていた。
私が家でダラダラと深夜番組を見ていたりすると、直接は何も言わないが少し困った様な表情をするのだ。
彼女は、健康志向がとても強くて毎日の食卓に出て来る朝食、夕食、そして昼の弁当に至るまでカロリーやバランスがきっちりと計算されている。
そして、恵美子自身も普段から実にたくさんの種類の錠剤サプリを飲んだりして健康に気を付けている。
ただ…
その事が、私にとっては、ほんの少しだけ息が詰まる事ではあった。
だから、私もたまにはダラダラと一人の夜を過ごしたい時が有る。
まあ、文句を言うとバチが当たりそうだが…。
私は、
妙に浮ついた気持ちで帰り支度を済ませると、帰宅の途に着いた。
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