幕間・過去編

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「ま、簡単に言えば全知全能がマイナス方面に特化してる神サマだよ」 ケラケラと笑う目の前の男━━━悪神。しかも邪神であり魔神でもあると言う。この男は自分を転生させて何をしようと言うのか………… 拓真の心に恐れが出てきた。 「ん?あぁ、心配しなくても良い。と言うか説明がまだ途中だったな」 悪神がパチンと指を鳴らすと、拓真の目の前に束になった紙とペンが出てきた。 「その紙にはお前が行く異世界の詳細と転生する際にどんな形で転生したいか。赤子か今の年齢で転生するか、種族や周辺の環境や家族構成まで。なるべく希望に沿う形で転生させてやるよ」 どうやらこの悪神は拓真を転生させる気満々のようだ。自分の意見を無視して転生の儀とやらを進める悪神に抗議する。 「待ってくれよ。俺は別に転生するなんて言ってないぞ」 その発言を聞いた悪神はキョトンとした顔で拓真を見つめる。 「え、しないの?」 「あぁ、しない」 「このままだと魂消失しちゃうよ?」 「なにそれ聞いてない!」 危ない所だったと拓真は冷や汗を流す。 「あー、それ言うの忘れてたな……。君をここに喚んだ時点で所謂、“死後の理”から外れてしまった」 死後の理。それは宗教や神話などで語られる、人が死んだらどうなるのかと言うこと。 人は死ねばどうなるのか。それはその人の持つ宗教感、世界観によって変わる。 「人は死後、自分が信じ続けた死後の世界へと招かれる。それを決定しているのはもちろん神々だ。だが、弥城拓真君。君のような、神に選ばれし者達はその死後の理から外され、新たに別の世界への転生を受けることになる。神様の特典付きでね」 幾つか気になるワードが聞こえた拓真は、頭の中でまとめていく。 つまり悪神の言う、神々が抽選で選んだ者達は死後、死後の理から外れ全く異なる世界━━━異世界へと転生させられる。 そこで拓真は先程の説明で気になった事を聞いてみる。 「特典て言うのは何なんだ?」 「さっき言った通り、転生先での自分のスペック。自分を中心とした周囲の環境。家族構成。その他諸々、ご要望を叶える形で転生させるのさ。いきなり異世界へ転生して即ゲームオーバーなんて面白く無いだろう?だからある程度強くなれる環境と、後はソイツ自信が選んだ特典━━━俺TUEEEEEEE!がしたい能力を与える。それが異世界転生における特典」
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