裏の世界

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「お客様から直接語られる理由!真に感情がこもった言葉を聞くと………たまりません!」 奈落は自分の体を両手で抱くと震えながら両手を広げ言い放った。 「狂人だな……!」 その言葉に奈落はより一層邪悪な笑みを浮かべる。 「でなければこのような仕事はしていません」 奈落はカラカラと笑う 「良いだろう、話してやる。あれはーーーー」 そうして、復讐決行当日。 王城より北に進んだ廃教会に依頼人の男と奈落。そして他に二人居た。 「準備は万端ですか?」 「勿論だ。抜かりはない。そちらこそ大丈夫なんだろうな?」 依頼人の視線の先には奈落とその後ろに立っている二人が居た。ローブを纏い顔を隠しているので外見が分からない。 「心配せずとも大丈夫です。今回はこちらの彼に、もしも目撃者や部外者の介入を防ぐ為に結界をはってもらいます」 奈落は自分の右側にいる人物に視線を向けると、彼は長い杖を何処からともなく取り出した。 「ならそっちは?」 「彼は主に雑兵の片付けです。お客様がスムーズにターゲットへ行けるように」 奈落は自分の左側へと視線を向けると彼はただ頷いた。 「………分かった。今回は頼んだぞ!」 「えぇ、お任せください。お客様はどうか、ご人身の復讐だけをお考えください。」 そうして…………時は来た。 美しい月夜の晩。 大貴族マーミット家は地獄となっていた。 「撃て撃てぇぇ!!あの怪物を殺せぇ!!」 逃げ惑う者。抗う者。絶望し諦める者。 誰もが突然の理不尽に戸惑っていた。 頭が無い者、腹をごっそり抉られている者、四肢がちぎれだるま状態の者、地面から突き出している杭に串刺しになっている者………… その地獄を作り出しているのはたった一人の人間である。 「カハハハハ、やれやれ、ボスは何かと人使いが荒い。しかしこのような塵共では満足できぬ。もっと、もっとじゃ。貴様らのような塵でも、量があれば腹は満たれよう。貴様らの負の慟哭が貴様らをより美味くする。さぁさぁさぁ!泣け!鳴け!哭け!啼け!喚け!」 否、“それ”は人に非ず。 災厄の化身。脆弱な人間など、ソレにとっては吹けば死ぬような塵芥でしかない。 自分の大事なモノを突然壊してしまうような理不尽の体現者。 ーーー鬼 「カハハハハ、ほれほれもっと抗ってみせい」
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