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「は、ははははは……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
依頼人は女性の頭を潰し壊れたように笑い出した。
いや、既に壊れているのだろう、手遅れな程に。
壊れている依頼人を見ながら奈落はまた二度頷き、依頼人に喋りかけた。
「お客様、おめでとうございます。貴方は復讐を見事成し遂げられました。今のお気持ちはどうです?清々しいですか?虚しいですか?是非お聞かせください。お客様の心のお気持ちを」
壊れた依頼人の心に奈落の言葉だけが響く。
「復讐……マーミット家……オレは……許さない……サナ……オレを愛してるって……なのに……マーミット家……う、うおおおおおおおお!!」
依頼人は所構わず魔法を撃ち出した。
「やれやれ、ここまで壊れてしまいましたか。ですが、予想の範囲内です。仕方ありませんね、この屋敷の財産と金目になる物全て回収しましょう。依頼料+報酬としていただいておきますか。この状態では報酬も期待出来ないでしょうし。あぁ、とりあえず私達の記憶も消しておきましょうか。もしもギルドにバレれば面倒くさいですし」
いや、ギルドにバレても別に問題は無いが……
「糞みたいな『正義の味方』とやらにはバレて欲しく無いですね………もしバレてしまったら……」
奈落は今までのピエロのようなふざけた口調ではなく、暗く冷たい正に【奈落】を思わせる声で
「俺直々に殺すしかないな……面倒だけど」
どこかを睨み付けながら呟いた。
マーミット家の庭は屍で埋め尽くされていた。
そんな中で鬼は退屈そうに息を吐いた。
「退屈じゃのう………久しぶりの依頼と聞いて来てみれば、居るのは雑魚ばかり。これでは満たされぬわ」
そこに今まで結界を張っていた少年が降りてくる。
「おう坊主、もう結界は良いのか?」
「……………」
「カハハハハ、相変わらず黙りか」
鬼の問い掛けに少年は答えず黙ったまま。
「やぁ、二人とも仕事はバッチリこなしたみたいだね」
二人の間に何処からともなく奈落が現れた。
「おう大将。大将こそ仕事は終わったのかのう?」
鬼はニヤニヤと挑発的な笑みを浮かべながら問うた。
「勿論。そしてこれが、今回の依頼の結末だ」
そう言うと奈落は手に持っていた何かのスイッチを押すと、マーミット家の屋敷から火が上がった。
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