裏の世界

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「そう言うなよ。お客様は神様………とは言わないけど、大事な金蔓。俺らの生活の糧となってくれるんだから」 奈落はさっきまでの道化師の気配を消し、ニヒルな笑みを浮かべる。 「………お腹すいた」 結界を維持していた少年は虚空を見つめながら呟く。 「それじゃ帰ろうか。俺達の家に」 そうして3人はその場から消えた。 後には紅蓮の炎に焼かれ、崩れ落ちる屋敷が残された。 必要最低限の道具が揃えられた執務室に3人が現れた。 「さぁて、今回の報酬の山分けをするぞ」 奈落は自分の影に手を入れると、そこからパンパンに膨れた袋を取り出した。 「よっ!待ってましたぁ!!」 鬼はそれに両手を叩きながら歓喜し、少年はただじっと黙って見つめていた。 「今回は忌火(キビ)が4で真(シン)が3。俺も3。何か異論は?」 忌火は鬼、真は少年の名前である。 二人は特に異論は無いのか忌火は腕を組み満足そうに頷いてる。真も目をつぶり何も言わない。 「よし、んじゃ今回は解散!!ご苦労さん」 奈落は手をヒラヒラと振って報酬分を渡す。 「それじゃ、俺はこれからちょっと出掛けてくるから。留守番頼んだよ」 それだけ言うと奈落はローブを手に取り身に纏うと自分の影の中に沈んでいった。 奈落が影から出てきたのはとある酒場の裏手。 奈落はそのまま正面へと回ると酒場へと入る。 酒場は奥にカウンターがあり、テーブルが正面から見て左右に6個、計12個。一個のテーブルに4人座れる。 奈落はそのままカウンターまで向かうと酒場の店員に話しかけた。 「今日は予約していた酒を取りに来たんだ。店長に言ってあるんだけど?」 店員は申し訳なさそうな顔をすると頭を下げる。 「申し訳ありません。店長はただいま外に出ておりまして。よろしければ2階にてお待ちになられますか?」 「あぁ、そうするよ。ありがとう」 奈落はカウンターを後にし階段にて2階へと向かう。 2階に着くと右側に奥へと扉が4つ並んでいる。 奈落は向かって左から2番目のドアを3回ノックする。 「入ってくれ」 中から聞こえたのは威厳に溢れる男性の声。 奈落は笑みを浮かべると部屋へと入る。 「やぁ、元気だったか?」 ━━━さて、商談を始めよう
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