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全身石油で濡れた竹口山に一言言いたくて俺たちは口を開く。
「なんで黒のレインコート着てんだよ」
「ないわ。石油、ほとんど下に落ちてるわ」
「ホンマ、やる気感じられへん。遊びじゃねえんだぞ」
「は!? ナイフやピンクのロープよりましじゃねえか」
「……あの」
小さく、小鳥のように囀ったのは、俺達のマドンナ、森湖山だった。
「あんまり皆さま動くと、死んじゃうんで落ちついて下さい」
「……お、おう」
冷静な当たり前な台詞に、なんだか盛り上がっていた俺たちは興ざめする。
ぶっちゃけ、空気を読んで欲しかった。
「今、皆様に死なれたら、血とか私に飛び散るじゃないですか。空気読んで下さいよ」
なんと。空気を読んでなかったのは俺達か。
俺たちは軽く、すまんと謝っておいた。
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