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はじめて嫉妬した。
真人の、あの眼に。
冷たく、すべてを射抜くような、あの鋭い視線。
あんな眼は、いままで見たことがない。
自分を挑発し続けていたときでさえ、真人は、いつも違う眼で、自分を見ていた。
鋭い視線は変わらなくとも、見るものを凍りつかせるほどの、残酷な眼はしたことがない。
自分には決して見せない眼。
それでも、自分の知らない世界では、曝け出していた眼。
その眼を当たり前のように知っているあの女にも、他の連中にも、腹が立つほど嫉妬した。
やさしいだけが真人ではない。
自分を守るだけが、真人ではない。
そう、すべてを容赦なく叩き落す。
そんな冷たい真人も、真人なんだ。
当然のことをいまさらながら知って、現実に甘んじていた自分にも、どうしようもなく腹が立った。
もう、本当に、狂おしいほど、嫉妬した。
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