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今日のことにしろ母親へのプレゼントにしろ、そして時折見せる気遣いも、孔明が無神経じゃないことを証明している。
叶多に見せた横柄さ――戒斗はそれを“お坊ちゃま”と表現したけれど、それはやさしさを隠すためかもしれない。
「そうだけど、戒斗にも、ううん、戒斗がやっぱりいちばんなの。ずっといてくれたからここまで来れた気がする」
「気がする?」
「じゃなくて、来れた!」
叶多が訂正すると、戒斗は可笑しそうに口を歪めた。
「あのね、里佳から写真もらったよ」
「写真?」
「そう。あのときの……これ!」
バッグから取りだした写真を戒斗に差しだした。
叶多がミザロヂーで待ち伏せした日の写真だ。
あのとき光った数、三枚の写真がテーブルに並ぶ。
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