prologue FATE

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prologue FATE

クリスマスが終わったと思ったら年の暮れ、そして年の初めと慌ただしく過ぎた。 年が明けるとゆっくりできたのもつかの間、有吏一族の親睦会がある。 その前日の二日、叶多は例によって詩乃の召集を受け、朝のうちから戒斗と一緒に有吏館へ詰めた。 春、夏、そしてお正月と、これでひととおり巡ったわけだけれど、家事全般の手伝いをするよりはお喋りしている時間のほうが圧倒的に長い。 無駄だと思わなくもない。 ただ最初の春に比べたら格段に居心地はよくなって、叶多は自分が認められたんじゃないかと勘違いするほどだ。 いまもダイニングでは昼食の流れのままにのんびりとした時間が過ぎている。 「叶多、ちょっといいか」 女性がにぎわうなかに戒斗の声が割りこんだ。
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