5.

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「うん。ちょっと挫いただけ」 「ごめんね、叶多」 「ううん。あたしが勝手に――」 「そうじゃなくて」 高飛車な声は鳴りを潜め、里佳はどこか投げやりにつぶやいて不自然なくらい黙りこんだ。 待ってみたけれど、里佳が口を開く様子はなく、叶多はおどけて首を傾けた。 「ケガしたら戒斗が動くなって云って、ホントに犬みたいに首輪をされそうになったよ。 今日、やっと出られた。 あのあと大学では大丈夫だった? 里佳がバラさなくて助かった。 だって、あたしは里佳みたいにやれそうにないから。 今度、戒斗から護身術を習うことにしたの。 体力ないから倒しちゃうなんていうのは無理だけど、手を振り解いたり逃げる時間を稼いだりする方法があるんだって」 「叶多、あたし、ずっといろんなこと後悔してた」 里佳は唐突に叶多が喋るのを制した。 「里佳……」
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