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「あの頃……。叶多、これから云うこと、云い訳にはとらないで。ただの事実を知ってほしいだけだから」
里佳はいったん云い淀んだあと、里佳らしくきっぱりと前置きした。
叶多がうなずくと里佳も応えてうなずく。
「あたしの親、あのあとすぐ離婚したの。
お母さん、四年生のとき働き始めたじゃない。
そこで男できちゃって、それで離婚。
お母さんは男のとこ行って、あたしはお父さんとふたりで引っ越したの。
ずっと揉めてて、あの家にはあたしもお父さんもうんざりしてたから。
学校のこともあったし。って云っても、学校の問題はあたしが自分でやったことなんだよね。
わかってたけど、あたしは認められなくて叶多を責めた。
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