5.

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フラッシュが連続して焚かれるなか、戒斗はそれと気取られない程度に息を吐いた。 「CARYもあんなふうに笑うんだな。ふたりとも恰好が似てるし、双子のようにしてる」 隣に立つ孔明の言葉を受けて、戒斗はあらためて叶多を見つめた。 いつもストレートな髪は緩やかに波打ち、無造作にふわりと顔を縁取っている。 膝丈のワンピースの色は里佳のブルーと対照的にチェリーピンクだ。 上半身は肩が剥きだしになるキャミソール型で、それとは逆行して下半身はバニエでボリュームアップされているぶん、華奢な躰がより強調されていた。 化粧をしていても叶多らしさは消えていない。 孔明が云ったとおり、コーディネーターの腕は確かだ。 が。 見せたくない。 戒斗は無意識に内心でわがままを漏らした。
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