5.

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加えて、いま見せている叶多の笑顔は戒斗に向けるものとは違う。 ずっと叶多が抱えてきた里佳への思いを知っている。 それでも戒斗は馬鹿げた、もしくは子供じみた嫉妬を感じなくもない。 複雑な気分極まりなく、戒斗は嘆息した。 「あら!」 脇で待機していたコーディネーターが、今度は泣きだした叶多に慌てて近寄っていく。 里佳が笑いながら叶多を抱き寄せてなだめている。 「写真ができたら差しあげますよ」 そう云ったあと、ふたりの様子を見ていた孔明は、叶多を待っている間に大まかに事情を話したせいか、 よかった、 と付け加えた。
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