5.

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「おまえのおかげだ」 戒斗が云うと、言葉に詰まった気配が感じられる。 暗さに慣れた目が孔明の怪訝な表情を捉えた。 「おまえ、じゃなくて『孔明さん』じゃないんですか」 「いつまでも丁寧にやってどうする。別に仕事で付き合ってるわけじゃない」 戒斗が云いきると、孔明は奇妙な面持ちになったのち、ひとしきり笑った。 「なんとなく叶には何かしてやりたくなったんだよな。なんでだろう」 お邪魔虫はまた一匹増えた。 幸いにも新米虫は自分の気持ちに鈍感らしい。 いや、幸い、とは限らないのか。 戒斗は顔をしかめた。
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