1.獣に変身

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「わたしもテレビでしか見てないから……」 「んじゃあ、会うの半年ぶりってことか?」 ちょうど赤信号で車は止まり、結礼を見やった哲は眉を跳ねあげて驚いた顔をしている。 「うん」 二年半前、大学生だった健朗は休学して、バンド“FATE”のギタリスト兼キーボーディストとしてプロデビューした。 活動も安定して健朗が独立するべく家を出たのは半年前だ。 「そりゃあ……いい刺激剤だな」 「……哲ちゃん、さっきから云ってることがわかりません」 「十七歳じゃあ、わかんねぇだろうな。健朗がどう出るか、楽しみだ」 結礼が十七歳であることと、刺激剤と、半年ぶりに会うことがどう繋がって、どう健朗に影響を及ぼすのか見当もつかない。
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