1.獣に変身

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「もしかして……健朗さまのこと知ってるんですか?」 「おれだけじゃない。姫良は知ってるし、紘斗も気づいてる。健朗が猫被ってるってことならな。おもしろい奴だ」 親しいほど健朗の本質に気づくのかもしれないが、哲の発言は健朗のことを思うといただけない感想だ。 「おもしろくないですよ。健朗さまはきっとたいへんなんです。父が云ってました。親に立場があると、子供も振る舞いに気をつけなくちゃいけないって。お金があると不自由なさそうだけど、自由でもないんですね」 「確かに」 にやついたままだが、哲は理解しているふうにうなずいた。
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