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やがて、健朗が住むマンションのまえに車は止まった。
ちゃんと健朗がいることを確かめないと帰れないと云って、哲はエントランスまでついてきた。
結礼は姫良の依頼を引き受けて以降、健朗と半年ぶりに会うことにどきどきしていた。
哲と話している間、おさまっていた緊張が一気に押し寄せてくる。
セキュリティボードの前に立って、深呼吸をした。
哲がいなかったら引き返したかもしれないとも思う。
結礼はかすかにふるう指先で部屋番号を押した。
『……はい』
健朗の返事は一瞬、間が空いたように感じた。
声は確かに健朗のものだ。
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