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「なんだよ」
云い方はぶっきらぼうでも、結礼の頬が緩んでしまう。
さっきは素っ気なさに安心したのではなかった。
それよりも、半年前と少しも変わらない健朗の態度がこのうえなくうれしかった。
「あの、健朗さまにクリスマスのお食事をと思って……」
云っているうちに健朗はわずかに顔をしかめた。
エントランスのドアを解除したのは、料理だけ置いて帰れという意味にすぎなかったのか、結礼は首をかしげて、
「入ってもいいですか」
とためらいがちに訊ねた。
ますます不機嫌そうになった健朗だったが。
「勝手にしろ」
「はい!」
結礼は張りきることでもないのに勇んでブーツを脱いだ。
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