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広すぎる洋館のなか、日常的に使われるダイニングルームは、客を招き入れても違和感のないほど優美な様だ。
レースのカフェカーテンがかかった窓を背後にしてダイニングテーブルの椅子に座った姫良は、その優美さに溶けこんで似合っている。
もと華族であり屈指の財閥だった貴刀家の洋館は、結礼が生まれるずっと以前、昭和四十年代に建てられたらしい。
戦後の財閥解体によっていったん一族は弱体化したが、一から立て直し、再び頂点へと伸しあがったという。
そんな経緯があるからか、その名のごとくプライドは高貴で時代を見通す鋭さを持ち、廃(スタ)れることなくここまで続いている。
姫良は現在の貴刀家の主、貴刀一成(カズナリ)の娘であり、幼い頃はここに住んでいたのだから似合うのも当然だ。
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