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姫良と健朗は六歳差の異母姉弟だ。
姫良の実の母親、紗夜は幼い頃に病気で亡くなっている。
後妻、早苗(サナエ)との間に健朗が誕生してまもなく、姫良は母方の実家に引き取られて遠野(トオノ)を名乗っていた。
いまは結婚して吉川になった。
そんな状況下、健朗と結礼が一緒にいるところにそう居合わせたはずもないのに、姫良はよく見ている。
「違うの!」
とっさに否定したのは、もしかしたら結礼の願望にすぎないかも知れない。
確かに無視されることは多いし、態度がいいとはけっして云えない。
けれど、本能が感じているのは、ひどい目に遭わされているというよりも、かまわれているという感覚なのだ。
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