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一方的な返答は当然ながら、なんのことだかさっぱりわからない。
表情を宿すことなく応対していた健朗は電話を切ると吐息を漏らした。
「さと美さんてだれですか?」
「おまえ、新曲のPV見てないのか」
しかめっ面と連動した声が呆れて響く。
結礼は「見ました」と答えながら、さと美がだれか、その答えを見つけだした。
「あ、女優さん! 永倉(エイクラ)さと美さんですか? 仲いいんですか?」
「付き合いだ」
健朗はひと言であしらう。
「それよりもおまえ」
と続けた健朗は口を歪めて結礼を脅(オビヤ)かした。
スイッチが入るも電話で気が逸れたかと思っていたのに、健朗が忘れるわけはなかった。
「覚悟しとけよ」
脅し文句を放ち、帰った直後、否応なしに大人のスキンシップが強行された。
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