お茶っ葉

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「あなた何呆けてるの」 「なに、昔のことを思い出していてね」 「昔は若葉のように生き生きしていたのに、いまじゃあ出涸らしのお茶っ葉ね」 「ひどいことを言うもんだ。まだまだ元気じゃないか」 「そうね、私はね。あなたは顔も頭もセックスもしわしわ。良い味もだしやしない」 「ひどいことを言うもんだ」 なぜか妻は泣きながら話している。 「なんで泣いているんだい」 「一体何回同じ話をしていると思う?言ったじゃない。あなたは出涸らしのお茶っ葉のようって」 わたしは黙り込んでしまった。 そうか。私は認知症か痴呆症なのか。 歳は取りたくないもんだ。 「あなた何呆けてるの」 ああ、なんだ。 妻も出涸らしじゃあないか。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!