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「あなた何呆けてるの」
「なに、昔のことを思い出していてね」
「昔は若葉のように生き生きしていたのに、いまじゃあ出涸らしのお茶っ葉ね」
「ひどいことを言うもんだ。まだまだ元気じゃないか」
「そうね、私はね。あなたは顔も頭もセックスもしわしわ。良い味もだしやしない」
「ひどいことを言うもんだ」
なぜか妻は泣きながら話している。
「なんで泣いているんだい」
「一体何回同じ話をしていると思う?言ったじゃない。あなたは出涸らしのお茶っ葉のようって」
わたしは黙り込んでしまった。
そうか。私は認知症か痴呆症なのか。
歳は取りたくないもんだ。
「あなた何呆けてるの」
ああ、なんだ。
妻も出涸らしじゃあないか。
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