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子供の頃に、父だか母だかが言っていた。
サンタクロースは、良い子のところにしか来ないのだ、と。
サンタクロースが来てくれるような良い子から見た自分はきっと酷く汚れているに違いないと、女は思う。
自分の幸せは世間では汚れたことで、正しく綺麗な誰かの不幸の上にしか成り立たないことを、女は理解していた。
世間は自分を否定するだろうし、サンタクロースだって自分の元には来ない。
自分の幸せを願う者は、自分しかいない。
もしもこんな孤独なものが恋ならば、あまりにも辛すぎる。
女は男と一夜を明かしてみたいと願う。
あわよくば幸せになりたいと願う。
そして何より、この気持ちがこれ以上膨らまないことを願う。
女は、一度できてしまった皺はもう元には戻らないと知りながら、性懲りも無くカレンダーの皺を指でなぞった。
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