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十二月二十三日
明日、男は来ない。
愛する女と子供と一緒に過ごすから。
私、あなたの幸せを願えるほど優しくない。
だって優しい女ならそもそも、あなたにこんなに溺れることもなかったでしょう?
温もりなどとうに消えた隣に向けて問いかける。
返事が返って来ないから、女はまた、カレンダーを抱きしめた。
明日、あなたは来ない。
クリスマスなんて、早く終わってしまえばいい。
そうすればまたあなたがやって来て、カレンダーをめくってくれる。
カレンダーくらいめくれ、と微笑んでくれる。
だから私、カレンダーはめくらない。
約束なんて確かな言葉はないけれど、カレンダーの日付が変わらないうちは、あなたを想って待っていられる。
せめてあなたが一度でも、私を抱きしめて愛してると言ってくれたなら、きっとあんな紙切れなんかに頼らなくたって、不安になんてならないのに。
だけどもしもその言葉を聞けば、二度と引き返せないことを分かってる。
まだ、引き返せる。
だってまだ、私はあなたに愛されていないし、
あなたを愛してだっていないもの。
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