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キラキラ光る瞳に見つめられただけで、俺の心臓は破裂しそうなくらい早く脈を打つ。
キッカは俺を離さず、そのままの距離で話をする。
「カイト、私をニライカナイの神殿から助けてくれたの?」
「そっ、そうだよ」
キッカはしずかに瞬きをする。
俺は上下に動く長いまつげだけを見つめていた。
「ありがとう……助けてくれて……」
「何を言っているんだよ。最初に俺の命を助けてくれたのはキッカの方だろ?」
「カイト……」
キッカは、はにかむように微笑む。
それは今までキッカが俺に見せてくれた中で、最高の笑顔だった。
顔には生気が戻り始め、ゆっくりとピンク色に染まっていくのが分かる。
その時、キッカが静かに何かを呟くと、唯一ついていた巨大な水槽の明かりもふっと消え、部屋の中は真っ暗となった。
キッカは両腕にさらに力を入れる。
俺はそんな力に逆らうことなく、自然に下へ向かって顔を下げた。
触れ合った頬と頬は、お互いにとても暖かかった。
「少しだけこうしてていい?」
「あっ……うん……いいよ」
そんな俺たちの耳にはソットマリーナが海中を走り抜けていく、静かな走行音だけが聞こえていた。
俺は今、深度数百メートルの深海で、女神のようなスキューマに抱きしめられていた。
ソットマリーナに乗った俺は、キッカらと共に不思議な旅を続けるのだった。
(終わり)
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