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俺は目を細めて、赤く輝きだした海中を凝視した。
「なんだ?」
俺が今まで海洋高専生として得てきた知識を総動員してみても、発光しながら高速で海中を巡航する生物などあり得ないと思われた。
「ぎょ、魚雷!?」
無論、実際に魚雷を見たことはないが、海中をこの速度で駆けるものなど考えられない以上、後は兵器しか思いつかなかった。
船の手前で直角に近いカーブを描いた光線は更に接近してきて船の下へ吸い込まれる。
その直後、水面下からピキンと何かが割れるような音が響いたのに続き、海面は巨大な円盤状の赤く輝く発光体に包まれる。
「なっ、なんだ!?」
危険を感じた俺はキャビン内へ退避すべく甲板を全速力で走ろうとしたが、なぜかその動きはスローモーションとなってしまう。
必死に足に力を込めても甲板上を一歩しか進めない。
船の下の発光体は爆発するように大きく膨らみ始め、水面がレンズ状に膨張していく。
突然持ち上げられた実習船は、船尾から滑り落ちるように船首を大きく上げる。
やがて海中に発生したエネルギーは臨界に達した!
ガラスが砕けるような音に続いて、巨大な爆発が船底で発生する。
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォオン!
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