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「さーくらっ♪一緒に帰ろう!」
「あっ、うん」
放課後、千恵ちゃんに誘われて二人一緒に帰る事にした。
明るく気さくに話す千恵ちゃんに、私が心を開くのにはそんなに時間はかからなかった。
「桜って家どこ?」
「ここから十分くらいかなー」
「そうなんや! 近いな♪……せや、近くに雑貨屋あるからちょっと寄ってけへん?」
「うん」
雑貨屋ー
「ほら、可愛い物がいっぱい! ここでお揃いの買おう♪」
そのお店には小ぢんまりとした見た目には華やかな様子は見られなかったけど、中に入ってみるとそんな事を感じさせないくらいのお洒落な雰囲気を醸し出していた。
一つ一つ手にとって私に嬉しそうに見せている。
なんか、千恵ちゃんって笑うと可愛いなぁ……彼氏とかいるのかな?
そんな彼女を見ながら疑問を一つ心の中で呟いた。
「私今は彼氏おらんねんなー。転校してから友達もおらんし」
「えっ? 私、口に出してた?」
「何が?」
「私、彼氏いる? って声に出してないよね?」
「ぜーんぜん♪何となくそんな事を思ってるんちゃうかなって思っただけ!」
(本当……かな……でも、私がそんな顔してただけってのもあるんだろうし……)
悪気のない千恵ちゃんの言動に、私の疑問は深まるばかりだった。
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