①彼女は俺の××。

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「あ、噂をすれば…」   女の子たちの声につられて視線を向けると、人混みを避けるように歩く楢崎くんが視界に入った。 ドキン、と心拍数が上がる。 彼のスーツ姿なんて、何度も見慣れているはずなのに。 どうして会社となると、輝き度が倍増するのだろう。 きつく締められたネクタイを片手で緩ませながら歩く仕草がやけに色っぽくて、それだけで女性社員の視線を釘づけにしていることを彼は気づいているのだろうか。 ちらりと目線を上げると、頭のてっぺんにあった彼の寝癖が消えていることに気がついた。 社内で誰かから指摘でもされたのだろうか。 恥ずかしそうに寝癖を直す彼を想像して、隅の方でにやけたくなる衝動をぐっと堪えた。
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