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「ただいま」
「お帰りなさい」
午後八時を回った頃、仕事を終えた彼が帰って来た。
最近は私より彼の方が帰途につく時間が遅いため、玄関までお迎えに行くことも習慣化している。
私は、彼が帰って来るこの瞬間が好き。
彼は気づいていないかもしれないけれど、私が玄関まで駆け寄ると、ほっと安心したように顔を崩すのだ。
その笑顔を見るだけで、どれだけ彼に大切にされているのかと、いつも胸が締めつけられる思いになる。
「はい、これ」
彼の笑顔に癒されていると、不意に彼がお洒落なデザインをした紙袋を差し出した。
そっと受け取って覗き込むと、中から長方形の白い箱が確認できた。
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