①彼女は俺の××。

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「ただいま」 「お帰りなさい」 午後八時を回った頃、仕事を終えた彼が帰って来た。 最近は私より彼の方が帰途につく時間が遅いため、玄関までお迎えに行くことも習慣化している。 私は、彼が帰って来るこの瞬間が好き。 彼は気づいていないかもしれないけれど、私が玄関まで駆け寄ると、ほっと安心したように顔を崩すのだ。 その笑顔を見るだけで、どれだけ彼に大切にされているのかと、いつも胸が締めつけられる思いになる。 「はい、これ」 彼の笑顔に癒されていると、不意に彼がお洒落なデザインをした紙袋を差し出した。 そっと受け取って覗き込むと、中から長方形の白い箱が確認できた。
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