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それからは、彼のために愛情たっぷりの夕食を振る舞った。
彼はいつも「美味しい」と言って、すべて残さず食べてくれる。
食後のデザートは彼が並んで買ってきてくれたケーキ。
「好きな種類を選んでいいよ」と、その言葉に甘えて、大好きないちごのショートケーキを頬張っていると、彼はクスッと微笑みながら愛おしそうに見つめている。
「葉瑠はいつも美味しそうに食べるよね」
頬杖をつきながら、じーっと見つめる彼。
くしゃりと顔を崩すその素顔は、会社にいる彼とはまったく面影がない。
見られていると思うと急に恥ずかしくなって、ぽっと頬を赤らめながらうつむき加減にフォークを進める。
すると、
「可愛い」
彼は甘く囁くように言った。
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