番外編 彼女は俺の××。① 葉瑠・怜斗編

①彼女は俺の××。

「楢崎主任、最近雰囲気柔らかくなったと思わない？
前より話しかけやすくなったっていうか」

背後から聞こえてきた彼のワードにドキンと胸が音を立てた。

肩が少し揺れて、思わず箸を持つ手を止めてしまう。

週明けの月曜日、いつものように混雑する社食を掻き分けて、何とか座る席をゲットできた私は黙々と昼食にありついていたときだった。

午後一の会議まで時間がないと焦りながら食べていると、突然、背後から女の子たちの声が聞こえてきた。

「あ、それ私も思ってた！
相変わらず冷たいのは変わらないけど、最近少し隙を見せることが多くなった気がする。
今日だって頭に寝癖つけて出社してきたんだよ？　
小さいのをぴんと跳ねた感じの。
そのギャップが可愛いって、今朝女子の間で話題になってたんだから」

ちらりと後ろを覗くと、本社所属の女子社員が輪をつくって楽しそうに話している。