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『どうするかなコレ…。
どうやっても消えない…ってやべぇ。遅刻する』
洗面台の鏡の前で、寝癖と格闘する彼の姿を思い出すだけで幸せな気持ちになる。
楢崎くんは意外に朝が弱い。
朝はギリギリまで寝る主義らしいけれど、最近は目覚めの悪い彼を起こすのが私の役目だったりする。
『葉瑠、コレどうにかなんない?
コレで会社に行ったら社員に舐められる』
コレとは、寝癖のことだ。
舐められるだなんて、むしろその逆だよ。
彼の発言が可愛らしくて、ほくそ笑みつつ、長身の彼を見上げるように頭に触れる。
背の低い私の手が届くように、しゃがんでくれる彼の気遣いですら愛おしい。
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