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玄関前の朝、彼は申し訳なさそうに、そしてどこか嬉しそうに言った。
『ゆっくりできなくてごめんな。
いつも朝食ありがとう。美味しかった』
『ううん、いいの。
時間がないのに食べてくれてありがとう。
気をつけてね』
ドアノブに手をかける彼を笑顔で見送ると、
『…おっと。忘れ物』
彼は思い出したように、チュッと唇に小さな音を立てた。
『……もう』
顔を真っ赤にして恥ずかしがる私をよそに、
『また会社で』
と言って、にっこり笑っていた。
こんな甘いキスも私たちの日課だ。
ぴょんと寝癖を跳ねさせて屈託なく笑う彼が可愛くて、私はいつだってそんな彼にドキドキされっぱなし。
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