①彼女は俺の××。

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玄関前の朝、彼は申し訳なさそうに、そしてどこか嬉しそうに言った。 『ゆっくりできなくてごめんな。 いつも朝食ありがとう。美味しかった』 『ううん、いいの。 時間がないのに食べてくれてありがとう。 気をつけてね』 ドアノブに手をかける彼を笑顔で見送ると、 『…おっと。忘れ物』 彼は思い出したように、チュッと唇に小さな音を立てた。 『……もう』 顔を真っ赤にして恥ずかしがる私をよそに、 『また会社で』 と言って、にっこり笑っていた。 こんな甘いキスも私たちの日課だ。 ぴょんと寝癖を跳ねさせて屈託なく笑う彼が可愛くて、私はいつだってそんな彼にドキドキされっぱなし。
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