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菓子コーナーに合った喉飴を手に取りレジの方へ向かった。
「 いらっしゃいませ。」
「こちら一点でお会計128円になります。」
「えーと、少し待って下さいな。」
店員さんを待たせ、加奈は鞄の中から長財布を探したが何処を見ても鞄の中に財布はなかった。
「あ、あれ?ない!家に忘れてきたかも…」
「お客様、どうなされましたか?」
店員さんは、最初は笑顔で接してくれていたが段々と困った表情になって行くのが分かった。
そして買うのを諦めようとしたその時、後ろから誰かが加奈に声を掛けた。
「あの、これ良かったら使ってください。」
と、その声は少し高めで恐らく声代わりをしていないのであろう。幼い声をしていて、加奈は声だけでは性別を判断できていなかった。
加奈は後ろを振り返ると、右手の人差し指と親指で500円玉を掴んで加奈の方に腕を少し近づけていた。
年齢は恐らく中学2年から3年と言ったところで、髪色は黒髪でショートカット、肌は白く顔立ちもも少し幼いがとても美形だ。誰もが最初は女性であると確信してしまうだろう。
加奈は、500円には目も付けず、時間にして5秒もの間その子の顔をじっと見ていた。
「あ、あの。大丈夫ですか?。」
と少し顔を赤くしながら問われたが加奈は無視をした。と言うよりその時周りの音、声、全て加奈には聞こえていなかった。
加奈は一目惚れをしていた。
急に誰かに声を掛けられその人がとてもイケメンまたは美女であり一目惚れをする。それだけでは在り来たり過ぎる。
神様はきっと何かしら違ったものを見たかったのだろう。
西尾加奈、高校2年。彼女は男性ではなく女性が好きだ。一般の人々は普通異性を好きになる様にできているが、加奈は同性を好きになる。
加奈が同性を好きになり始めたのは中学一年の頃だ。
何故同性を好きになったのかと問われてもこれと言った原因がある訳では無かった。
そして今また加奈は女性に恋をした。
「お客様。後ろのお客様がお待ちですので。」
店員さんが困り果てた様に加奈にそう伝え、加奈もようやく我に返ったかの様に、すいません。と誤り横にずれそのまま店を出た。
しかし加奈はゴミ箱の横に立ち彼女が出てくるのを待っていた。
そしてこの時加奈は未だに勘違いをしてしまっている事が1つある。
しかしその事に気づくのはもう少し後の事だ。
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