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物凄い残念な気持ちになった。
加奈は彼女から貰えるものなら何でも嬉しかった。彼女の手で触れたもの、彼女が舐めようとしていた飴。それだけで彼女に少し近づけた様な気がしたからだ。加奈は自分で単純なのだろうと思う。
「ごめんなさい。飴家に置いて行ったの忘れていました。」
「いえ、本当に大丈夫ですよ。飴くらい自分の家にもあるので。」
正直飴なんか加奈にはもうどうでも良くなっていた。それより彼女がこの場にいる内にどう連絡先を聞き出すかの方が重要だった。
そうこうしている間に彼は携帯をズボンの後ろポケットから取り出し画面を見ていた。恐らく時間を確認しているのだろう。
加奈は勇気を出して連絡先を聞き出そうとしたがやはり言うのを躊躇ってしまう。
この時だけは自分の積極性や決断力のなさを加奈は恨んだ。
「ごめんなさい。友達が家で待ってるんでそろそろ行きますね。」
「あ、はい。ありがとうございました。」
彼女は携帯をズボンの後ろポケットにしまいながら加奈が行こうとしていたショッピングモールとは逆の方向へ歩いて行った。
嫌だ、行かないでほしい、そんなこと言えるわ訳もない。しかしもう2度と会うことができないか
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