0-ldMinittsu

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「現在、達樹様の生命が危ぶまれています」 四井の社用車に乗せられて、唐突に話された言葉に、信憑性も何も無かった。 だけど、藤原さんの真剣さは伝わった。 「達樹様の父上であります、達臣様は、四井の名を汚す、達樹様を良く思っておりません。四井グループ総裁の立場で、スキャンダルを嫌って、実子でも、切り捨てる。亡き者にしかねない意向なのです」 亡き者って、殺人って事かよ。 「冗談でしょ。スキャンダルって、その、オレとの事ですか?」 改めて自分の口から言うと、少し抵抗があったが、オレは達樹を愛している、それは事実だ。 「その通りです」 至って真面目に応えてくれた。 「じゃあ、オレを武力行使で引き離すなり、極論、オレの方が亡き者になるのが、普通じゃないですか」 「それこそ、スキャンダルになります。発覚すれば、四井グループ一環の終わりでしょう。 堀江様には、絶対、どんな事があろうとも、危害を加える事は無いと断言いたします」 妙に説得力があった。 四井グループ総裁から見たら、実子もオレも、同じくらい、ただの駒に過ぎないのかも。 「それだけ、四井グループとは、大会社を超えた、怪物なのです」 息を呑む。 より、リスクの軽い方。 達樹を消す方が、自然だ。 例え、オレが訴えたところで、誰も耳を貸さないだろうし。 オレは恐ろしくなって、寒気を感じた。 察したのか、藤原さんが口を開いた。 「堀江様、お願いです。 どうか、達樹様と別れて下さいませ」 ガバッと、布団を跳ね上げた。 また、あの夢を見た。 少し息が荒い。オレは動揺していたのか。 なんなのだ、この夢は。
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