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「俊、O-ldMinittsu 予約取れたぜ」
ウインクまでして。達樹が得意げに放った、その言葉に、オレの応えは、溜息一つだけだった。
「なんだよ俊、テンション低いな。まだ寝てるのか?」
そう言いながら、上半身裸のまま、クリーニングされたシャツを差し出す。
「起きてるよ。それより、なんか一枚羽織ったら」
オレは無造作にそれを受け取り、素肌に直接、その袖を通した。
シルクの冷たい心地よさに、頭が冴え始める。
「達樹、確かにオレは言ったけど、本気なのか?」
オレの隣に腰を落とし、不思議そうな顔して、口を開いた。
「O-ldMinittsuで、クリスマスがしたいと言い出したのは君だろ、オレは本気だぜ。嫌なのか?」
少し怒ったように睨みつける瞳の奥に、どうしようも無いほどの弱さを感じた。
「いや、違うよ。だって高いだろ、あんな店。オレは別に、アキバの立ち飲みだって、お前と一緒なら…」
本当は、他人の目を憂いた。イブにあんな洒落た店に、男二人だけでなんて。
すると達樹が音もなく顔を近づける。勝ち気な微笑を携えて。
「何も、負い目に思う事は無いさ」
少し潤んだ瞳がアップになると。
オレは目を伏せた。
柔らかく、アツイ吐息の感触に、目を開けるとそこには-
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