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「だけど、もう、お前を家に関わらせるのはやめた。オレは家を出るよ」
「え、ちょ、待てよ達樹、家を出るって、どんな意味だよ」
また突拍子も無い発言に、慌てる。
達樹が応えた。
「文字通りだ、オレ、家を捨てる。
そして、俊、お前と暮らす」
えーっ。
心臓の音が、達樹に聞こえるんじゃないかと心配になるほど高鳴った。そして、顔が火照って暑くなってきて、恥ずかしかった。
「ダメ、かな。…オレは、お前の側にいたいんだ。お前の一番近くに」
至って真顔。真っ直ぐな瞳でオレを突き刺した。
「…ダメなもんか。うん、一緒に住もう」
自然と、涙が零れ落ちた。
オレは、とても嬉しかったんだ。
『次は三軒茶屋~三軒茶屋に止まります』
はぅっ。
…夢。
車内でうたた寝をしていたのか。
起きるときに、びくついてしまった。声が出ていたかもしれない。
恥ずかしく思ったが、それは気苦労だった。
見渡せば、まるで関心の無い。意思すら持ち合わせてないような、無表情のままで電車に揺られる同輩達ばかりだったから。
オレは少し不思議に思った。
僅かな時間に見ていた、その夢。
BLアニメの夢。それは今朝方見た夢の続きだったから。
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