桜の香り

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青い春。未熟者たちのもがきと希望。 まるで風船に空気を入れすぎたかのようにパンパンに破裂寸前。 たくさんの夢を詰め込み次々と空へ飛ばしては割れて落ちた。 毎年見る桜も今年は特別美しく、とても魅惑的な香りを暖かい風が運ぶ。 いつもの桜の木の下に見知らぬ人。 彼は微笑んだ。 私も微笑んだ。 そして.... 夜。ベッドの上で美化された彼を想う。 それは桜吹雪の中、これからを妄想させるような素敵な背景にいる彼。 誰なのだろう。 いつ会えるのだろう。 どこで会えるのだろう。 ドラマチックな展開やストーリーをたくさん妄想したあと、そんな事があるわけないかと少女マンガを手にする。 朝、同じ時間同じ場所へ淡い期待をいだきそっと足を運ぶ。 彼は。そこにいた。 彼も私に気づいた。 心臓は今までにない動きをした。 なのにすごく落ち着いていて自然に会話していた。 同じ学校。 いつでも会えることを知り喜びが表にでてしまったようだった。 気づけば教室。自分の席にいた。 宙に舞う気持ちとはこの事かと嬉しかった。 何を話し、どれぐらいの時間そこにいて、いつ別れ、いつ教室について、今に至っているのか、何もわからないほど気持ちは浮かれていた。 放課後の体育館。 汗を流し部活動に励む。 息を切らし喉が乾き体育館の外のウォータークーラーに向かう。 人の気配を感じ、振り替えると彼がいた。 笑いながら声をかけてくれた。 少しずつ私に歩み寄ってくれる彼から私は....逃げた。
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