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前略
『…貴方が目を開けると、そこには何と!死んだはずの祖父が立っていた!』
「何それー。全然怖くない」
『…何だよ。せっかく考えたんだぞ。お世辞でも怖いって言ったらどうだ』
「怖くないものは怖くない!」
『言ってくれるじゃないか。じゃあ次はお前の番な』
「よし来た」
『あれだけの辛口を吐いたんだ、ガッカリさせるなよ』
中略
「そして、貴方が目を開けると、そこには何と…」
(ここまではありふれた怪談だったが、さあどう出る?)
「何と!もう一枚のまぶたが!」
『!?』
(何だそれは?ここまではごく普通の怪談だったのにまさかの急展開!そのまぶたは自分のまぶたなのか?自分の意思で開く事は出来ないのか!?心霊現象とは別の意味で怖い!そして他人のまぶただったならそれはそれで怖い!いつの間に急接近したんだ!?どちらにせよ怖い!)
「ふっふっふ、その様子だと効いたみたいだねぇ~」
『ああ、負けたよ。良かったら続きを聞かせてくれないか』
「それはまた明日~」
『ああっ、待て!』
その夜
『うーん、結局自分のなのか他人のなのか…他人の方がまだ現実的だがやはりいつの間に…自分のだったらどうしよう…うーん、寝れない…』
翌朝
『なあ、昨日の話の続きを聞かせてくれ。気になって寝れなかったんだ』
「えっと、じつはあの話はあれ以上考えてなかったんだけど…」
『けど?』
「続きを夢で見たんだ。ゆうべ」
『ほう』
「そのもう一枚のまぶたは閉じちゃってて開かなくて、手術をしないといけないんだって」
(自分のまぶただったか。他人肉薄説は杞憂たったな)
「で、その手術にとんでもないお金がかかって、その人は一般人だからそんな大金は用意できなくて」
『ちょっと良いか?』
「何?」
『そのまぶたは急に出来てしまったのか?生まれつきだとするとまた話が違ってくるんだが』
「うーん、あんまり考えてなかった。夢だから曖昧なんだよね」
『言われてみれば。何にせよその人自身のまぶたで良かったよ』
「それどういう意味?」
『いや、眼前に他人のまぶたがあったのかと勝手に妄想してしまってな』
「えっ、やだ!何それ怖い!やめて!」
『…ん?』
翌朝
「昨日のあれのせいで寝れなかったよー」
『…』
「で!あの後どうなるの?その他人って誰?」
『…逆転勝ち、か』
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