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「どうして、どうして、あなたが……」
嘆き悲しむ彼女の泣き声を聞いていたら、何故だかオレにも涙がこみ上げてきた。
オレの正体なんて、この人に知らせる必要はないのかもしれない。誰と間違われているのかは知らないけれど、ずっと、その人と彼女は会いたかったのだ。
頬を伝った雫が、やけにしょっぱくて。
ようやく冷静になった彼女の言葉によって知ったのは、オレがこの女性の旦那さんと間違われていたということだった。
しばらくして、霧が深くなってきた。
気が付くと、目の前にいた彼女が違う姿になっていた。驚くことに、先ほどよりもずっと歳をとった姿で、膨れていたお腹は平らになっていた。
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