第一話 joka (女渦)

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「……あっ……ぅっ」 「出るじゃねえか、俺の勝ちだな」 いつ勝負をした、すると言った。 大体、何を根拠にだ。 「ちょっと、身体が疼いただけよ」 「それをカンじるって言うんだよ。ジョカ」 気安く、名乗ったからって、呼ぶな私の事を。 毎日、ふらっと出掛けて行き、ふらっと帰って来る。 否、ふらっと帰って来て、ふらっと出掛けているのかも? ベッドとソファーとローテーブル。 音響機材にたくさんのCD。 テレビはない。 ネットもない。 ――― 此処には、何もない。あるはずがない ―――
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